◆ AutoCADでのJGD2000測量図取り扱い
- 最近では現地測量をトータルステーションで行い、地形情報をベクトルデータとして収録する場合がほとんどです。その成果を測量CADから吐き出させて、調査や設計に供することができる平面図が容易に入手できるようになっています。
- 測量CADが収録したデータはあくまで、国土地理院で規定されたJGD2000(公共座標・平面直角座標系)準拠のデータ群ですが、吐き出されたCAD平面図には、測量CADの変換オプションの設定内容により各種各様の図面が生成されることになります。
- 印刷された状態のままのデータであったり、図面の上が必ずしも北方向とは限らない場合もあるので、CAD平面図データの縮率と単位および方位とをしっかり把握する必要があります。
◆ 公共座標・平面直角座標系JGD2000の概説
- 度分秒で表示される極座標系の世界測地系WGS84と、公共座標・平面直角座標系のJGD2000について理解する必要があります。地球はごく少しだけ歪んだ楕円体ですが、ほぼ球面状を呈しています。したがって緯度によって経度方向の距離が変わるため、日本陸地部を主体にして基準点を適用する範囲を設定しています。公共座標系と称するもので現在は、右図に示すように19の基準点・範囲が設定されています。(国土地理院から引用)
- これらの各基準点が図面上での測量原点(0,0)となって、通常の直角座標軸配置のイメージで表示されます。
◆ JGD2000測量データの配置について
- 岡山県は鳥取県・兵庫県とともに第5系に属しており、測量原点は東北方の日本海沖にあります。したがって座標系では第4象限にあることから、経緯度方向ともにマイナス−で位置が表示されます。具体的な図面イメージの配置概要を右図に示しました。
- 通常の測量成果図面の図枠外周に表示されている座標軸配置とその座標値を拡大しています。測量成果図面の上部が必ずしも北に配置されるとは限らないので、回転されて配置されることになります。
- ここでの注意点は、実空間ではX軸が右方向で大なり、Y軸が縦方向に大なりですが、公共座標系ではX軸とY軸が入れ替わっていることです。グリニッジ天文台の経度0における経線と赤道との交点を基準にして、経緯度座標を考えたからだと推察しています。
◆ 測量CADからの変換出力
- 上図のようにJGD200測量平面図が公共座標系に配置されたままでは直ぐには扱うことはできません。測量CADが日常的に扱えるような印刷イメージの実空間に変換表示する必要があります。
- その変換出力は右図のようなイメージです。そこでは原点移動、回転、縮尺調整、の大きく3つの処理が行われます。
- なおAutoCADでは基本的な機能として、実測測量データをそのまま配置できる半無限のモデル空間があり、加えて測量データを印刷イメージの実空間として表示できるペーパー空間とがあります。
- この基本機能については、次頁の「ビューポート内処理」で具体的な説明を行います。